調査日記番外編「伝えたい想い」

調査日記番外編「伝えたい想い」
 ~飽きずに地図を眺めているあなたへ

札幌オリエンテーリングクラブ
  雑用係 山田 健一

自己紹介

昭和45年(1970) 札幌市生まれ
オリエンテーリングとの出会いは小学校の図書室にあった「オリエンテーリング入門(小学館)」という漫画仕立ての本でした。愛知県犬山城付近のパーマネントコースを仲間と回るといったストーリーで面白そうと興味を持ったのがきっかけです。当時国民体力づくり運動の中において札幌市教育委員会ではほぼ毎月「徒歩OL」大会を開催しており、それに参加して楽しさを覚えてしまったことが人生のレールを踏み外したオリエン渡世への分岐点となってしまいました。

中学・高校と細々と北海道内の大会に参加する中、当時刊行されていた「オリエンテーリングニュース」「O-Japan」といった冊子からスウェーデンのO-Ringen大会を知るに至り、欧米志向の強かった自分も参加してみたいという欲求が芽生えます。そのためには北大OLCに入部して北欧を目指そうと思ったのですが、残念ながらクラーク博士からドラフト指名を受けることはありませんでした。脱線沈没紆余曲折、大学ドラフトにかかるべく共通一次試験もセンター試験も受けたのですがどこからも一向に指名がかかりません。途方に暮れて諦めかけていたところ、トライアウトで拾ってもらえた群馬県にある高崎経済大学というところに流れ流され辿り着くに至ります。群馬県にいれば最大派閥関東学連の準加盟所属ですよ。それからというもの毎月のようにハチ公線に乗って越生・飯能方面へ大会遠征し、毎月のように日光の大谷川YHに泊まるも一度も東照宮には行ったことのない極道学生生活を送り、憧れだった北欧遠征もすることができました。
結局、夏は暑すぎて冬は雪が積もらない土地での生活には馴染めず4年後に北に帰って今に至るのですが、当時お世話になった群馬県協会(&前橋OLC)の皆様にはこの場を借りて改めて御礼申し上げます。
現在自分が運営者の一味として地図を描いているのも群馬で4年間お世話になった賜物だし、今でも心の中では群馬県協会の不名誉会員の一員として皆様をお慕いしております。

調査日記を書く理由

今年8月に開催した札幌OLC大会、2年前に開催した同大会と自分が運営責任者・地図調査者として関わる大会では大会公式webページに調査日記という戯れ言を掲載しております。これ半分は備忘録を兼ねており自分のためにだったりもするのですが、主目的は自分の調査経験をみなさんにも伝えたい、ひいては大会に興味を持ってもらい参加者増に寄与したいというものです(多少話は盛っています)。実績も経験も少ない僻地の我々が大会やりますから来てくださいといっても信用ないですからね。「札幌OLCが本当にまともな大会開けるの?北海道ってヤブいんじゃないの?地図大丈夫?」誰もがそう思ってたでしょ?半分ネタを散らしながら「このテレインを走ってみたい。北海道に大会遠征したい。」そう思っていただけるように調査から帰宅して作図反映を終えた後に日記を更新していました。それと私は本来ぐうたら者で仕事が休みの日に朝起きて現場に向かうことすら億劫なんだけど調査日記を読んだ人からコメントもらえると今日もネタ拾いに行かなきゃ・・という気にもなるといった副次的な効果もあったりします。

調査中に琴線に触れた風景や、山中で出会った動物なんかをデジカメで撮影し、それらの写真を眺めながら掲載する写真を選びコメントをつけます。キツネや鹿は動きが速いし、少し離れたところから10倍ズームで狙う場面も多いのでスマホでなくデジカメがいいと思います。幸運なことにヒグマとはまだ出逢ったことがありません。

晩秋の10月から積雪までと雪解けの春先に集中して調査に入るのですが、冬を越せなかった動物の亡きがらといった自然界の厳しい現実を目の当たりにすることもあります。植生の良さをアピールしたり地元のグルメ情報なんかもアップして少しでも大会準備の様子を参加者のみなさまと共有できるように写真を盛り込みます。

調査していて常に思うのは地図を介してこの風景を参加者のみなさんに伝えたい、この土地(テレイン)を楽しんでもらいたいという想いにつきます。

植生情報や特徴物の写真はプログラム上での競技情報にも転用できるのでまさに備忘録ですね。あとデジカメに記録を残すのは別項で述べるGPS情報とのリンクにも使えます。

テレイン選定から地元渉外を経て調査・作図、試走と大会開催に至るまでのストーリーも参加者のみなさまに紹介することによって競技だけでなく大会の成り立ちも楽しんでいただければ、そして調査者のワタクシの熱き想いも伝われば会場ではきゃーきゃー女子たちに囲まれてウハウハなはず・・と調査日記を更新してますが、寄ってくるのはダニとヤブ蚊ばかりでこのへんはまだまだ精進の余地ありですな・・。

調査効率を求めるには・・正確でなくてもいい?

札幌近郊は12月~3月の4ヶ月間は積雪で調査できません。かといって残り8ヶ月間の週末土日単純カウントで64日間調査に入れるわけもなく、しかも2人しか調査者がいない現状ではロングの大会が開催できる面積を調査しようとすると2年越しにならざるを得ません。今年の苫東で開催したテレインは私が50日間、松本君が12日間の延べ62日間費やしています。(0次調査除く)

私は決して調査上手じゃなくて、整備された基盤地図情報(レーザー測量データ)とGPSのおかげでウンチクたれてるにすぎません。でも調査者ならきっと同じ思いじゃないのかなと思うのですが、「自分が眺めている目の前の風景をO-mapを通して競技者に伝えたい」という思いで植生(通行可能度)をメモしてイメージした等高線をスケッチしています。ちぎり絵をちょっとずつ作り上げていくように、最初は原図一色だったものが少しずつ彩りを帯びていき、一本の線が意味を持ち、ひとつの点が存在を主張する地図という作品に仕上がっていく様は楽しいものがあります。

ところで、よく「地図が正確」と言いますけど、O-mapで求められる正確って何なのでしょう? 競技者が違和感持たずに競技できればいいわけで、地図が正確(精密・厳密)である必要ってあるのでしょうか?もちろん不正確よりは正確な方がいいに決まってるけど、縮尺1:15,000の地図だと0.25mm幅の俗に言う5番の道(ISOM506 小径)は原寸に戻すと幅員3m75cmの道になっちゃうわけで、そもそも誇張や総描されており正確じゃないんですね。だから自分は調査にあたり、正確という言葉に縛られることなく、「なんとなーく合っている気がする地図」を提供できるように・・という心構えで現地をメモ、スケッチしに行っています。

昔、GPSを用いて調査する前はまじめに2点間を歩測し、3点からコンパスを振って原図にペンで点を記し・・なんてやってたこともあるけど、きっちり歩測が往復合致した試しがないし、こんなことやってたらいつまで経っても地図なんかできやしない。いいんだよ、たとえ5m・10mずれていても競技者が違和感持たなきゃ全然問題なし! 学生の頃すばらしいと賞賛していた地図もレーザー測量データやGPSデータで再参照してみたら結構ずれていることが判明してますが、その当時は最高峰の精度で誰もその表現に疑いなく問題も抱かず競技していたんだから絶対精度というのはあまり重要じゃないんじゃないのと考えます。

世間一般ではGPSで確定点を数多く取って、そこを基準に調査をしているようですが、思い返すと自分の調査で確定点というワードはほとんど出てこないな。点は点状特徴物の取得と後で参照する何かのアピールポイント(線状の始点や終点、交点とか)のためにウェイポイントのボタンをポチッと押してプロットするのみで基本的には競技者目線で自分が歩んだ軌跡を参照しながら作図をするという手法です。ここでは1万円強のGPSロガーとOCAD11をインストールしたタブレットPCを活用して調査作図した手法を披露いたします。みなさまの参考になれば幸いです。

原図上の現在地

他にもっとスマートな方策があるのでは・・といつも思ってはいるのですが、私はWindowsタブレットPCにOCAD11をインストールしてGPSをBluetoothで飛ばしてOCAD画面上に現在地点を表示させて調査画板と対比しながら調査に挑んでおります。現地でOCAD作図は一切せず(操作性が悪くて非効率だから)単純に原図上の現在地点を参照するだけです。デジタル機材を持って調査に入ってるけど、やってることはアナログ。

先に述べているように沢底でたとえ現在地の絶対値が10mずれていたとしてもさほど影響があるわけでもなく、相対的に見て自分の原図上での位置がわかるのは調査の進捗に大きな効果があります。慣れてくればGPSが吐き出す現在地の信憑性もわかってくるものでダメな時は無視すればいいのです。等高線の修正をするときは原図上の現在地が明確になるというのはすごく調査の進捗に役立つはずです。

6年くらい前に液晶表示のガ○ミンのe-Trex20だかって機材を買って原図の画像データを読み込んで機材の簡素化ができないかとやってみたのですが、吐き出すgpxファイルの値がクソすぎて使い物にならなかったです。調査を始めた頃一番最初に買ったmap60csだかってGPSもやっぱりクソだったので、それ以来ガー○ンのGPSは使わずもっぱらログ取り機能しかない台湾製のGPSロガーを使っています。絶対値の精度は気にしないと述べていますが、公園の遊歩道を往復して取得したgpxファイルの軌跡が全く重ならないようなクソデータを吐き出すGPSだとちょっと使い物にならなくて消去法的にこの機材を使い続けています。
(8年近く同じGPSを使っているので最新の良いGPS機材があったら情報交換させていただきたいです)

タブレット上に現在地が+マークで表示される

最新情報の調査画板

調査画板は100円ショップで売っているA4硬質カードケースを使っています。その中に印刷した原図を入れてケースの上にプラスティックフィルムを貼りバインダーで挟み、現地に赴いてシャープペンでメモをし、等高線修正は赤色芯のシャープペンでスケッチをします。

用具はなるべく108円で揃える

OCAD上で磁北修正済みの調査原図を作成します。それを1:7,500や1:5,000にA4印刷したものを調査原図として使用するのですが、作図更新する毎に最新の原図を同じ図郭で印刷するために「印刷トンボ」をOCAD上に打ちます。(他のトンボと区別するために赤色に変色しているので赤トンボと名付けている) 

印刷トンボ(左上部隅の赤十字)原図印刷時の基準とする
調査フィルムを貼って調査原図をケースに入れてトンボに合わせる

そして調査から戻ってきてGPSデータを反映させて作図をし、同じ図郭で再度調査原図を印刷して硬質カードケースに入れて更新し上に張ったフィルムのトンボと合わせて最新原図を背景にして翌週隣接地区の調査に入ります。
調査者=作図者なのでクリーンコピーは書かずにスキャンしたフィールドコピーとGPSデータを参照して一発作図で手間を省いています。

調査から戻って下絵をケースから抜いてフィールドコピーのみスキャンする
作図終了後赤トンボに印刷範囲を合わせて下絵原図を印刷しケースに入れる
フィールドコピー(調査フィルム)のトンボと下絵原図のトンボを合わせて次の範囲の調査に向かう(摩擦でそう簡単には内部でずれたりしない)

線に意味を含ませ点を記し面を成す

ハンディGPSロガーを帽子の中に仕込み、1m移動する毎に1点プロットする仕様に設定して軌跡を取ります。例えば下図の例でいうとCヤブをぐるっと回って軌跡を取得しながら(ライン取り)、一方で変化があるところ、例えばCヤブとBヤブの境界なんかも歩いてログを取り自宅に戻って作図する際の参照となるようにメモを書き込みます。
また、ライン取りの途中で点状特徴物(炭焼き窯跡・小凹地等)を見つけたらウェイポイントとしてGPS点取得しフィールドコピー上にメモしておきます。(安いGPSなので属性登録できないため、メモしておかないと打った点が炭焼きなのか小凹地なのか後でわからなくなる)この時写真も一緒に撮っておけばGPSの時刻とデジカメの撮影時刻と同期させて後で間違わないし、風景写真として四方撮影すれば帰宅してからの等高線修正や植生修正の参考にもなります。

原図状態(少し作図してるけど)
フィールドコピーをスキャンしたもの

調査で取得した自分が歩いたGPS軌跡(GPXファイル)をOCAD上に展開
フィールドコピーとGPS軌跡(赤い線)を重ね合わせる
赤×はウェイポイントとして点取得したもの
画面下部の赤×は乾いたみぞの始点と終点をプロットした。中央部やや左側のプロットは廃屋とサイロ、その北西のプロットは土塁の始点と終点をプロットしたもの。

自宅に戻ってなるべく記憶が鮮明なうちにフィールドコピーのメモとGPS軌跡を参照して作図します。
もし原図上の現在地が表示されるタブレットがなくても、自宅に戻ってすぐに.gpxファイルをOCAD 上に展開できて作図するのなら(調査者=作図者)特に問題なく地図は作れます。自分もタブレットを買う3年前まではそうやって地図を作成してました。でも現在地が表示された方が断然進捗は早いし精度も向上します。

クリーンコピーを書いてマッパーが取りまとめる形式であっても自分の歩いた軌跡とウェイポイントが記された下絵を印刷してもらった上でクリーンコピーを書いた方がわかりやすくて仕事が捗るのではと思います。(やったことないけど)

作図反映したもの
その日の調査日記

等高線の修正って?

これ、正解ないですよね? 100人調査者がいれば100通りの表現の仕方があると思うし、そもそも等高線というのはテレインには現存しない。でも、この表現が上手だと地図の評価は高いしプロの書く地図はやはりわかりやすい。「わかりやすい」=競技者がイメージしやすい。
レーザー測量データが使えるようになって昔の「線の数しか合ってねーじゃねーか」って原図に比べれば、もうそれだけでO-mapに採用できちゃうレベルですが、競技者目線で見ると沢線、尾根線(特に枝沢、枝尾根の分岐)や傾斜変換なんかはちょっと物足りない。もしかすると標高の絶対値は正しいのかもしれないけど、後述する「変化」の場面にてイメージし易いかと言われると微妙。それにカクカクしてるしね。
調査者に求められるのは、目の前の風景を等高線という線分を用いて競技者がイメージし易いように修正し地図に反映するという作業なのかなと考えます。大雑把な私はスケッチをしに行くという表現を使いますがこだわるとキリがないし、競技者に伝わればそれでよし。
小さな尾根沢を修正する際はまず調査画板を整置して沢線・尾根線を書き入れてからイメージし易いように等高線をスケッチします。この時原図上の現在地が明確になるのは非常に効果的なんですね。
・・・とはいうもの、コンタが1本周りとつながらない・・や辻褄が合わない・・と悩ましい事態の多い作業なことは間違いないです。この項はあまり参考になること書けなくてすみません。実はワタクシ等高線修正苦手なんよ・・。ひとつだけ気をつけているのはあまり補助コン(補助曲線)多用し過ぎないようにしています。補助コンというのは調査者からのアピールというかメッセージだと思うので多用し過ぎるとオオカミ少年になって効果的に競技者に伝わらない気がするのでピンポイントで使うべきものと思っています。

変化には敏感に、でもテキトーに・・

競技者目線で考えたときに地図と現地の対応で一番敏感になるのは「変化」がある場所だと思うのです。例えば傾斜変換や植生のランク、もちろん突然現れるこぶ・小凹地・炭焼き釜跡といった点状特徴物。これらがきちんと網羅されていれば競技者はストレスを感じず、たぶん「よい地図」という評価だと思うし、その反対も然り。参加者が行かないようなヤブい場所の中身に時間をかけるのではなく、その変化の境界の取得にはきちんと対応しなければなりません。
植生界の取得なんかはGPSでぐるりと回ってライン取得だけでいいんじゃないのと思ってます。(もちろん角や変化はきちんとメモして反映させる)
そう思うにも理由があって、あまり真面目に細かく取得しても最小寸法等の都合で地図に反映しきれないのです。今回のテレインは「乾いたみぞ (ISOM108)」が非常に発達しており調査の最初の頃は全部取得していました。しかしドット表記ゆえ、細かく取得しても面で見るとドットの集合体にしか見えなくなってしまい溝の分岐なのか交差なのか線としての意味を持たなくなってしまったのです。線表記の「きれつ(ISOM107)」で表記して逸脱事項で認めてもらおうと考えていたのですが、Nishiプロの西村氏に相談する機会があってプロマッパーの意見を聞いたところ「逸脱が過ぎる。きれつ表記は好ましくない」とアドバイスをもらい最小寸法に近い溝(3ドット弱=17mぐらいの溝)の表記は省略しました。また、くにゃくにゃ曲がっている溝もドット表記では曲がりを表現できず、そのためコントロールを置く場所として適さなくなってしまったのですが先に述べたようにこの時点で地図は「正確」ではないのです。こだわって細かく調査取得しても地図上で表現できなければただの自己満足時間のムダ。適当でいいんだよ、競技者が違和感もたなければ。適当、適当・・。

Day1ミドルの南部 当初は「みぞ」を「きれつ」表記としていた 
結局斜面に伸びる短いみぞは表記省略せざるを得なかった」
ドット表記では全く表現しきれない「乾いたみぞ」
分岐も曲がりも終点も表現不可

・・・・、とここまで書いて過去のアドカレを読み返してみるとプロマッパーのお考えに見事に盾突いてるな(ぶるぶる)と冷や汗です。ただねぇ、質と量をを追い求める能力があるからプロたる所以であって、2年に1回という量の充足がやっとのライフワークとして地図調査をしているアマチュアにはこれが限界だよなぁ、時間的にも経済的にも。別に盾突くつもりはございません。これからもよろしくお願いいたしますね。(すりすり) 先日、久々に参加者として京大京女大会に出走しプロの地図を堪能したのですが、テキトー気分じゃあの地図描けないよな-。なんか我ながら言ってること信憑性ない。テキトーだからな・・。

調査七つ道具

調査七つ道具

7つという数に意味は全くありませんが、右下のスマホから時計回りに紹介すると

① スマホ 音楽やラジオを聞くけど必ず片耳は開けておいてクマや鹿の気配に注意する。(クマの気配を感じたことはないけどさ) スマホがタブレットPC代わりになってくれれば(原図を参照できてGPSで現在地を表示)言うことないんですけどね。

② OCADが使えるWindowsタブレット ヒモで首から下げて現在地をGPSからBluetooth接続で受け取る。操作性が悪い上に最近老眼で操作がつらい・・。ヒモが外れて湿地に水没させたときはマジで絶叫しました。

③ GPSロガー 台湾のWintec社製 WBT-202という機器。もう製造終了されており手に入らない。帽子に仕込んで歩き、ログを1m移動毎に1点プロットする仕様に設定する。点状特徴物を見つけたり、始点や終点をチェックしたい場面ではウェイポイントボタンを押して点を取得する。(精度はばらつきがある) BluetoothでタブレットPCと接続して現在地情報を表示させる。帰宅してからgpxファイルを抜いてOCAD上に今日1日歩いた軌跡とウェイポイントとして取得した点を展開して作図の基礎とする。
現場を後にする際に電源を切り忘れて帰ってくると車で移動した60km分の重たいログが展開されてしまい涙が出る。

④ シャープペンとペンケース 0.3mm黒芯と0.5mm赤芯を用意し、黒芯はメモ用、赤芯は等高線修正用に使う。0.5mm青芯も一応用意しているけどほとんど使わないので邪魔なのでペンケースに入れて腕にくくりつけている。

⑤ 電動消しゴム 100円ショップで売っている。これ意外に重宝している。削る感じで線が消せてGood。

⑥ 調査画板 カードケース単体だとふにゃふにゃして持ち歩きにくいのでバインダーに挟んで輪ゴムで留める

⑦ コンパス バインダー上の輪ゴムで押さえて整置してからメモしたり、沢線・尾根線を書き入れる。

無事7つ道具になりました。あとは虫除けスプレーや冬の寒い時期は水筒(ボトル)にお湯を入れて現地でカップラーメンを食べたりします。靴は湿地に突っ込んでもダメージが少ない長靴がおすすめ。あっ、あと熊鈴は必携。

こんな感じで調査してます

伝えたい想い

自分は誰かと一緒に調査に入ってマンツーマンで教えてもらった経験がないので想像ですけど、地図調査の方法というのはおそらく各大学やクラブに大雑破なマニュアルがあって、あとは上級生や経験者と一緒に付いて回って経験を伝授されて、なんだかよくわからないまま森に入ってフィールドコピーをメモってクリーンコピー書いて提出するといった感じじゃないのかなと思います。私も学連講習会で山川さんの座学を受けた思い出やNishiプロの調査合宿に参加したことはありますが前述の方策は所詮我流に過ぎません。

オリエンテーリングを始めて2年・3年足らずの学生が渉外やって地図調査して世間一般を対象にした大会を開催するなんて考えてみたらかなり凄いことだと思うのです。他の競技だとせいぜい学生同士対抗戦の運営ぐらいじゃないんですかね? GPSを始めとした便利なツールも増えて四半世紀前に比べれば格段に地図調査の敷居は下がったと思うし精度も向上しました。でも、そもそも地図調査って何をどうしたらよいのかという考え方や方法を記したものってやくざなマニアックな世界ゆえオープンになっていないかと思います。今回自分の経験や方策、考え方を披露する機会を得ることができて、それがみなさんの調査に対するヒントや効率アップのお役に立てれば嬉しいです。ついでに次回の札幌OLC大会に参加してみようって気になってもらえればもっと嬉しい。

北海道にいるのでクマを恐れず遠くへ足を伸ばせばロングの大会が開けるテレインは自分が死ぬまで調査を続けても枯渇しないでしょう。体力とお財布が続く限り2~3年に1回の周期でロングの公認大会を提供していきたいところですが(実質年中調査)、最近自らのポンコツっぷりが顕著になってきて次回の展望がままなりません。先の大会でも1人で抱え込みすぎているとお叱りを受ける場面がありましたが、技術の伝承や育成というのも雑用係の自分に課された役割なのかもしれません。未来溢れる若人に後を託しワタクシは隠居してネタだけ提供していければと儚い想いが募ります。